
こんにちは、今回は珍しく「Aftewords」を運営する事務局からの発信です。たまにこのバージョンもあります^^
記念すべき第1記事目は「ガンダム」のあの名曲についてです。
アニメ史に燦然と輝く『機動戦士ガンダム』の劇場版三部作。そのラストを飾る『めぐりあい宇宙編』(1982年公開)は、まさにファーストガンダムの集大成として語り継がれており、テレビシリーズを追いかけてきたファンにとっては感慨深い結末でした。壮大な戦いの結末に加え、アムロとシャア、そしてララァのドラマが交錯する瞬間を、スクリーンで体験した当時の観客の衝撃は計り知れません。僕もそのひとりです。
さらに、エンディングを彩る主題歌「めぐりあい」は、物語を締めくくるだけでなく、その余韻を決定づけた名曲として強烈な存在感を放ちました。井上大輔さんの歌声はまるで宇宙空間に響く祈りのようで、映画の余白に込められた感情を音楽で語り直しているかのよう。ガンダムファンの間で“神曲”と称され続けるのも当然であり、その理由をここでは、ひとりのファンの視点から改めて丁寧に語ってみたいと思います。
めぐりあい 切なさと壮大さを同時に描く一曲
「めぐりあい」を初めて聴いたとき、まず心をつかまれたのは冒頭の静かなイントロでした。わずか数秒の音の響きにすぎないのに、映画の余韻をすべて吸い込んでしまうかのような神秘的な空気が漂い、思わず息をのんでしまいます。そこから一気に広がるメロディと井上大輔さんの伸びやかな歌声は、まるで夜空に輝く星座をたどるように、聴く者を宇宙の果てへと誘っていくように感じられました。音の厚みは重力から解き放たれたように軽やかで、それでいて切なさを帯びており、胸の奥を静かに締めつけます。戦いの物語を描いたガンダムに、こんなにも切なく、美しい愛の歌が添えられていることに驚かされ、同時に“人間ドラマの本質”に迫ろうとする作品の深みを改めて思い知らされた瞬間でもありました。
個人的に“胸を撃ち抜かれる”瞬間
そして何より好きなのが、サビの「こいしくてー」のあとにコーラスが「こいしくてー」と重なる部分です。この短い掛け合いが、まるで矢のように心に突き刺さり、聴くたびに胸の奥が熱くなります。井上大輔さんの声とバックコーラスの応答は、一対の魂が交錯し共鳴し合うようで、アムロとララァの魂が一瞬触れ合い、しかし必然的に離れていく…そんな運命を象徴するかのように響きます。ここでは主旋律の力強さに対し、コーラスが柔らかく呼応することで、単なる強弱のコントラストではなく“人と人が互いに求め合いながらすれ違う”という切なさが浮かび上がります。さらに、映画の映像と重ね合わせると、その意味は一層深くなり、観客はアニメの枠を越えて壮大な人間ドラマを感じ取るのです。映画館の暗闇であの場面を観ながら、このフレーズが流れたときに全身を駆け抜けた衝撃は今でも忘れられませんし、思い出すたびに鳥肌が立ち、あの時の空気や観客のざわめきさえよみがえってくるのです。まぁ、小学生だったんですけどね笑
歌い手・井上大輔という存在
「めぐりあい」を語る上で欠かせないのが歌い手である井上大輔さんです。もともとは作曲家・編曲家としても活動し、多彩な音楽性を発揮していましたが、その力強くも哀愁を帯びた歌声は、ガンダムの世界観に見事に重なりました。さらに彼は、アニメソングという枠にとどまらず、ポップスや映画音楽など幅広いフィールドで作品を生み出しており、音楽シーン全体に確かな足跡を残しています。井上さんのボーカルはただ歌詞を届けるのではなく、聴き手の心に直接語りかけるような説得力があります。特に高音域で伸びやかに響くフレーズは、宇宙を駆け抜けるような開放感を持ちながら、同時に孤独や切なさを含んでおり、ガンダムという作品のテーマと深く共鳴しています。彼の歌声は単なる伴奏の上にあるものではなく、物語を解釈し直し、さらに感情を付与する役割を担っているとさえ言えるでしょう。井上さんが歌い上げることで、曲はただの主題歌にとどまらず、聴く者の記憶に強烈に刻まれる体験へと昇華されました。その存在は「めぐりあい」を単なる主題歌ではなく、永遠に語り継がれる名曲へと押し上げた大きな要因といえるでしょう。
ガンダムと音楽の幸せな出会い
当時のアニメ映画の主題歌といえば、もっと明るく、わかりやすい曲が主流でした。子ども向けに分かりやすく親しみやすいポップソングや、ヒーロー性を強調したアップテンポの楽曲が多かった時代です。しかし「めぐりあい」は違いました。イントロから漂う大人びた雰囲気、抑揚豊かなメロディライン、そして井上大輔さんの伸びやかな歌声は、アニメ主題歌の枠を超え、まさに映画音楽としての完成度を誇っています。その楽曲の中には、ガンダムという作品が抱える深いテーマ、人間ドラマ、愛と別れ、戦争の虚しさや矛盾が真正面から映し出されており、聴く人に重厚な余韻を残します。従来のアニメ音楽が一過性の楽しさを提供するのに対し、「めぐりあい」は人生や人間の存在そのものに問いを投げかけるような深さを持ち合わせているのです。その意味で、この曲は“ガンダムがアニメの枠を超え、普遍的な映画作品として評価される証”でもあったのではないでしょうか。
今も色あせない名曲
40年以上が経った今でも、この曲はまったく色あせません。むしろ時を経るごとに深みを増し、聴くたびに新しい発見や感情が生まれてくるように思います。YouTubeやサブスクでふと再生した瞬間、当時映画館で体験したあの衝撃が鮮明に蘇り、胸が熱くなるのです。井上大輔さんの歌声が放つ力強さと儚さは、現代の洗練されたアニソンとは違い、クラシックな香りを漂わせながらも普遍的なメッセージを届けてくれます。最近のアニソンの華やかさやテクニカルなアレンジとは一線を画し、あくまで人の心に寄り添い、切なさと力強さを同時に響かせる。そのバランスこそが、世代を超えて人々の心に届き続ける理由なのだと思います。さらに、親から子へと受け継がれるように、多くの家庭で世代を越えて共有される楽曲となり、ガンダムを知らない人であっても心に残る普遍的な音楽体験を与えている点が、この曲の真の魅力ではないでしょうか。
「めぐりあい」を歌い継ぐ?毛利泰士とザ・ベストメンバー
『めぐりあい』は井上大輔さんの歌声で強烈な印象を残しましたが、その後もさまざまなアーティストによりカバーされてきました。なかでも毛利泰士とザ・ベストメンバーによるバージョン、僕は結構好きです!何気なくYouTubeを見ていた時にパッと目に入ったのがこのチャンネル。アニソンをカバーされており、ファンの間でもよく知られる存在なんですね。特に「めぐりあい」のカバーは秀逸で、オリジナルの持つ哀愁と力強さを尊重しつつも、重厚なコーラスワークとアンサンブルが加わることで、また違ったスケール感を演出しています。コーラス部分で鼻をつまみ「こいしくてー」を再現、あれなんか本当に好きですし、素晴らしいと思います。
まさに“めぐりあい”の名が示すように、楽曲が新しい表現者たちと出会い、時代を超えて生き続けることを証明しているといえるでしょう。
まとめ
『機動戦士ガンダムⅢ めぐりあい宇宙編』を締めくくる主題歌「めぐりあい」は、作品とファンの心をつなぐ永遠の楽曲です。特にサビでの「こいしくてー」とコーラスの掛け合いは、聴くたびに胸を熱くさせ、宇宙に散った数多の想いを思い起こさせてくれます。そのわずかなフレーズのやり取りに、アムロとララァの出会いと別れ、シャアの葛藤、そして戦争の悲哀までもが凝縮されているようで、聴き手は音楽を通して物語そのものを追体験している感覚に包まれます。単なるアニメの主題歌ではなく、一つの映画音楽として、また人生の記憶と強く結びつく文化的遺産として愛され続けるこの曲に、これからも何度でも耳を傾けたいと思います。聴くたびに新たな感情が芽生え、当時の思い出とともに未来へ受け継いでいきたい、そんな特別な楽曲なのです。
編集後記:ライターのリーダー、TAKAHIROさんからは「文章が堅いわ!」と言われ、一瞬動揺しましたが、このスタンスを貫き通します笑